■ はじめに:高配当株=長期投資だけじゃない。不安定な今こそ「始めるきっかけ」に
「高配当株」と聞くと、「配当金を毎年コツコツ受け取りながら長期で資産形成する」というイメージが強いですよね。もちろんそれは王道です。しかし、最近のように市場が大きく変動する状況を見ると、「今、投資を始めるのは怖い…」と感じる方も多いのではないでしょうか?
実は、高配当株は長期保有だけでなく、短期的な売買(タイミング投資)でも活用できるんです。そして、株価が大きく下がるような暴落局面は、見方を変えれば優良な株を割安で手に入れるチャンスとも言えます。この記事では、これから資産運用を始めたいと考えている30~50代の会社員の初心者の方に向けて、高配当株を活用したタイミング投資の具体的な考え方や注意点を、実践的な視点から解説します。この記事が、あなたの資産運用を始めるきっかけとなれば幸いです。
投資の基本的な考え方については、まず金融庁のサイトで学ぶのもおすすめです。
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■ タイミング投資で高配当株を使う3つの方法
具体的に、高配当株をタイミング投資にどう活かすのか、3つの方法を見ていきましょう。
① 配当利回りで割安感を判断して売買益を狙う
高配当株は、一般的に配当利回りが高いほど株価が割安と判断されやすい傾向があります。
✅ こんなときが狙い目!
- 利回りが一時的に4~5%以上に急上昇している時: これは株価が下がっているサインです。株価下落局面、いわゆる暴落時にも見られる現象です。
- 企業の業績や財務状況に大きな問題がないこと: なぜ株価が下がっているのか、一時的な要因なのか、企業体質の問題なのかを見極めることが重要です。
- 株価が回復し、利回りが平常時に戻ってきたら売却: 安く買って高く売る、キャピタルゲインを狙う戦略です。
② 配当権利付き最終日前後の値動きを利用する
日本株には、配当金を受け取るための「権利確定日」があり、その権利を得られる最終売買日を「権利付き最終日」と呼びます。この日までに株を保有していると配当を受け取れるため、その直前には配当狙いの買いが集まり、株価が上昇する傾向が見られます。
✅ やり方のポイント
- 権利付き最終日の1~2週間前に購入を検討する。
- 権利付き最終日に向けて株価が上昇したタイミングで売却する。
ただし注意点も! 権利付き最終日の翌営業日である「権利落ち日」には、配当分の価値だけ株価が下落する傾向があります。売却タイミングを逃すと、逆に損失を被る可能性もあるため、注意が必要です。権利確定日などのルールについては、日本取引所グループ(JPX)のサイトが参考になります。
- 日本取引所グループ(JPX):配当金・株主優待 https://www.jpx.co.jp/learning/basics/stocks/basics-06.html
③ 市場全体が下落したときに優良高配当株を仕込む
「相場が暴落したら買い場」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、優良企業の株価も市場全体につられて下落することがあるためです。特に高配当株は、株価が下がることで配当利回りがさらに高くなり、配当を重視する投資家からの買いが入りやすいという特徴があります。
✅ 具体的な行動例
- 市場全体が大きく下落した暴落時に、財務が健全で安定した配当を出し続けている大企業(例:大手通信キャリア、電力・ガス、メガバンク、大手商社など)の株価と配当利回りをチェックする。これらの企業は、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄とも呼ばれます。
- 株価が割安だと判断できれば購入し、市場が落ち着きを取り戻し、株価が回復したタイミングでの売却益と、保有期間中の配当の両方を狙う。
- これは、投資初心者の方が高配当株投資を始めるきっかけとして、比較的取り組みやすい戦略かもしれません。

■ タイミング投資と長期投資の違い
それぞれのスタイルを簡単に比較してみましょう。
- 長期投資: 配当金を再投資することで、雪だるま式に資産を増やす「複利効果」を最大限に活かすスタイル。日々の値動きに一喜一憂せず、じっくり資産を育てます。
- タイミング投資: 配当金を受け取りつつ、株価の値動き(キャピタルゲイン)も積極的に狙っていくスタイル。市場の状況を見ながら、比較的短~中期で売買を行います。
✅ どちらが良い?
→ 一概にどちらが良いとは言えません。実は**「併用する」**という考え方も非常に有効です。例えば、
- 資産の**コア(中心)**として、長期保有を目的とした安定的な高配当株を持つ。
- 資産の**サテライト(周辺)**として、市場の状況に応じてタイミング投資用の高配当株を売買し、追加のリターンを狙う。
特に株価が不安定な時期は、このように柔軟なスタイルを取り入れることが、リスク管理の面からも有効と言えるでしょう。
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■ タイミング投資で気をつけるべき2つのポイント
高配当株のタイミング投資を行う上で、特に注意したい点を2つ挙げます。
① 減配リスクに注意
配当利回りが高いからといって、将来もその配当が保証されているわけではありません。企業の業績が悪化すれば、**配当が減らされる「減配」や、配当がなくなる「無配」**のリスクがあります。
✅ 見るべきポイント
- 配当性向: 税引き後利益のうち、どれだけを配当に回しているかの指標。一般的に50%を大きく超え続ける場合は、無理をしている可能性も考えられます。
- 業績: 売上高だけでなく、本業の儲けを示す「営業利益」や、企業が自由に使える現金を示す「フリーキャッシュフロー」が安定して伸びているか。
- 業界動向: その企業が属する業界全体の将来性、規制強化の動き、技術革新による影響などもチェックしましょう。
② 業種の偏りを避ける(分散投資を心がける)
高配当株は、銀行、商社、通信、エネルギー、不動産といった特定の業種に偏りやすい傾向があります。
→ 特定の業種に集中投資するとリスクが高まります! その業界に逆風が吹いた場合、保有銘柄が一斉に値下がりしてしまう可能性があるからです。
✅ 分散のコツ
- 複数の業種に分散する: 最低でも3~5業種以上に分散することを意識しましょう。
- 国内だけでなく海外にも目を向ける: 例えば、米国の連続増配高配当株を集めたETF(上場投資信託)なども選択肢になります。
- ポートフォリオ全体でバランスを取る: 高配当株だけでなく、成長株や債券、投資信託などを組み合わせることも有効なリスク分散策です。
分散投資の重要性については、以下のサイトも参考になります。
- 投資信託協会:資産運用の基本 分散投資 https://www.toushin.or.jp/investment_exp/basic/method/diversification/

■ 結論:高配当株は「買いっぱなし」じゃもったいない!暴落時こそチャンスと捉える視点も
高配当株=長期保有でコツコツ配当金、という考え方が一般的ですが、見てきたように、市場のタイミングを見計らって売買することで、より効率的に利益を追求することも可能です。
特に、株価が大きく変動する不安定な時期や、市場全体が下落する暴落局面は、悲観的になるだけでなく、「優良な高配当株を安く仕込むチャンス」と捉える視点を持つことが重要です。このような考え方が、投資初心者の方が高配当株への投資を始めるきっかけになるかもしれません。
「ただ配当を待つ」だけでなく、「利回りの変化に注目し、適切な売り時も意識する」というアクティブな関わり方が、これからの資産形成では有効な武器になるでしょう。
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難しく考えず、まずはここから始めてみませんか?
- 配当利回りランキングをチェックしてみる: 証券会社のサイトや金融情報サイトで、どんな企業が高配当なのか見てみましょう。Yahoo!ファイナンスなどで手軽に確認できます。
- Yahoo!ファイナンス:配当利回り(会社予想)ランキング https://finance.yahoo.co.jp/stocks/ranking/dividendYield
- 権利付き最終日カレンダーを確認する: いつまでに買えば配当がもらえるのか、スケジュール感を把握しておきましょう。
- 証券口座のスクリーニング機能を試してみる: 多くの証券会社では、「配当利回り〇%以上」「PER(株価収益率)〇倍以下」といった条件で銘柄を絞り込める機能があります。無料で使えるツールも多いので、まずは触ってみるのがおすすめです。例えば、大手ネット証券のサイトで試せます。
- (例) 楽天証券:スーパースクリーナー (※口座開設が必要な場合があります) https://markets.rakuten-sec.co.jp/stocks/screener/
このように、高配当株は安定した長期保有のイメージだけでなく、市場の動きを捉えて利益を狙うアクティブな投資ツールとしても非常に魅力的です。ご自身のライフスタイルやリスク許容度に合わせて、高配当株との付き合い方を探ってみてください。今回の記事が、その始めるきっかけとなれば嬉しいです。
松井証券
免責事項: この記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
