はじめに:もしあなたが「外国人オーナー」と契約して不安なら、この話はきっと役に立ちます
もしあなたが、オフィスの賃貸契約の相手が外国人オーナーだったり、「最近、海外の投資家から物件を買った」と聞いたりして、漠然とした不安を感じているなら、今日この話は絶対に最後まで読んでください。
「外国人との取引は税務署から目をつけられるのでは?」 「家賃から税金を引くって聞いたけど、どうやるの?」
私も以前、同じような不安を抱えていました。 ある時、知人から聞いた話です。 その人は、個人事業で小さな事務所を借りたんですが、契約後に貸主が海外に住んでいる人だと判明したんです。 その方は「海外在住のオーナーに家賃を払うと、源泉徴収が必要で、その手続きを怠るとペナルティがある」と聞いて、どうしたらいいか分からず、毎晩のようにパソコンの前で頭を抱えていました。 不安のあまり、国税庁のサイトを何度も何度も読み返しても、専門用語が並んでいて、結局何から手をつけていいのか分からなかったそうです。
安心してください。 今日、私がこの記事でお伝えするのは、まさにその「漠然とした不安」を解消するための、超実践的なガイドです。
先に結論をお伝えしましょう。
- 貸主が「外国人」かどうかではなく「非居住者」かどうかが重要です。国籍は関係ありません。
- 個人の自宅用なら源泉徴収は不要ですが、法人契約や事業用なら原則として必要です。
- 納付期限は「支払月の翌月10日」です。遅れるとペナルティがあります。
実は、このルールさえしっかり理解して手順を踏めば、何も怖いことはありません。むしろ、知識がないまま放置する方が、将来的に大きなペナルティという名の“落とし穴”にはまるリスクがあるのです。
私の経験と専門家としての知識を総動員して、この複雑なルールを誰でも理解できるように、分解して解説していきます。最後まで読めば、あなたの不安は希望へと変わるはずです。さあ、一緒にこの知識の扉を開きましょう。
税理士の無料相談サービス👉第1章 結論サマリ:ここだけ押さえればOK(3つの重要ポイント)
まず、最も重要なポイントを3つ、最初に押さえておきましょう。これだけで、この話の8割は理解できたも同然です。
1) 「外国人」ではなく「非居住者」がキーワード!
まず、多くの人が勘違いしているのが、この点です。源泉徴収が必要になるかどうかは、貸主が「外国籍」であるかではありません。
重要になるのは、貸主が日本の税法上の「非居住者」に該当するかどうか、そして「借り手の用途」が何か、この2点です。
- 貸主が「非居住者」で、あなたが「事業用」または「法人」として借りる場合
- →原則として、源泉徴収が必要です。税率は20.42%です。
- 貸主が非居住者でも、あなたが「個人の自宅用」として借りる場合
- →源泉徴収は不要です。「居住の用に供するため」の家賃は例外とされているからです。
ここでいう「非居住者」とは、日本国内に「住所がない」か、または「1年以上居所がない」個人を指します。国籍は一切関係ありません。外国籍でも、日本に住んでいれば「居住者」となるのです。
2) 納付期限は翌月10日(海外送金なら翌月末)
源泉徴収した税金は、ただ取っておけば良いわけではありません。 定められた期限までに、国に納付する義務があります。
- 国内で家賃を支払った場合:支払月の「翌月10日」まで。
- 海外で家賃を支払った場合(海外送金など):支払者が日本に住所や事務所を持つなら「翌月末日」まで。
この納付を怠ると、延滞税や不納付加算税といったペナルティが課せられます。この納付期限の管理が、実務では非常に重要になります。
3) 源泉の対象は「家賃だけじゃない」
「源泉徴収」と聞くと、つい「毎月の家賃」だけを思い浮かべがちです。しかし、実はそうではありません。
家賃や地代だけでなく、以下のような一時金も「不動産の使用料等」として源泉徴収の対象になります。
- 礼金
- 更新料
- 返還されない敷金
「このお金も対象なの?」と驚くかもしれませんが、契約時に支払う一時金も、非居住者に対する支払いの場合は注意が必要です。
第2章 「外国人」と「非居住者」は別物:定義と見分け方
「外国人」と「非居住者」は全くの別物です。 ここを理解しないと、すべての判断が狂ってしまいます。
2-1 個人オーナーの判定基準
日本の税法では、個人の「居住者」と「非居住者」を「日本国内に住所があるか、または引き続き1年以上居所があるか」で判定します。
- 居住者:日本に住所がある、または現に1年以上居所がある人。
- 非居住者:上記に該当しない人。
つまり、極端な話、日本国籍の人が海外に住んでいれば「非居住者」になり得ますし、外国籍の人でも日本に住んでいれば「居住者」になるわけです。
2-2 実務でどう見分ける?—貸主に確認すべきこと
では、実際にどうやって見分けるか? 貸主が「非居住者」かどうかを確認するためには、以下の情報を取得し、記録しておくのが安全です。 正式な書式は決まっていませんが、以下の「確認・申告ひな形」を参考にしてください。
- 日本の住所や在留カードの有無
- 海外の住所
- 過去1年間の日本滞在期間
- 今後1年間で日本に居住する予定の有無
これは、あなたが「源泉徴収義務者」として、客観的な事実に基づき適切な判断をしたことを証明するための大切な証拠になります。
2-3 確認・申告ひな形(コピペOK)
契約書の別紙やメールで送る際に、このひな形をそのまま使ってみてください。
(貸主=個人用)居住区分の申告書(任意様式)
氏名: 現在の居住区分:☐居住者 ☐非居住者 日本国内の住所: 海外住所(該当する場合): 日本国内での居所の有無と期間(1年以上/未満): 居住区分の根拠となる資料(例:住民票、在留カード、現地賃貸契約等): 申告日: 署名:
(注意)この申告書は、あくまで源泉徴収要否を判断するための任意資料です。
第3章 源泉徴収が“必要/不要”になる早見表
この章では、第2章で確認した「非居住者かどうか」と「用途」という2つの軸で、源泉徴収が必要か不要かを一目でわかるように整理しました。
3-1 秒速で判定!図解早見表
この図表を見れば、自分のケースがどこに当てはまるか、すぐにわかります。
図表:源泉徴収が必要かどうかの早見表 | 借り手の属性・用途 | 貸主が非居住者の場合 | 源泉徴収の要否 | 根拠・理由 | | :— | :— | :— | :— | | 個人・自宅用 | YES | 不要 | 個人の「居住用」は例外規定があるため | | 個人・事業用(SOHO含む) | YES | 必要(20.42%) | 事業活動による支払いは原則対象 | | 法人・用途不問(社宅含む) | YES | 必要(20.42%) | 個人の自宅用以外は対象となるため |
第4章 税率と“対象になるお金”の範囲
「20.42%」という数字はどこから来たのでしょうか? また、どんなお金にこの税率をかけるのか、実務的な部分を深掘りします。
4-1 税率:20.42%の内訳
税率の「20.42%」は、以下の合計です。
- 所得税:20%
- 復興特別所得税:0.42%(所得税額の2.1%)
この復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源のために、2013年から2037年までの間に上乗せされる税金です。
4-2 「家賃だけ?」——対象になる“お金”の具体例
繰り返しになりますが、源泉徴収の対象は家賃だけではありません。 契約時に発生する一時金も含まれます。
- 家賃・地代
- 権利金・礼金(返還されない敷金や、将来返還されない部分も含む)
- 更新料・承諾料・名義書換料
第5章 手続きの流れ(超実務編)
「計算して、納めて、書類を出す」という3つのステップで、実務は完了します。
5-1 金額の計算
まず、支払総額から源泉徴収すべき金額を計算します。 ここで注意すべきなのが「消費税」の扱いです。
- 請求書で「本体」と「消費税」が明確に区分されている場合
- 本体金額に20.42%をかけます。
- 請求書が「税込一式」と記載されていて区分がない場合
- 税込総額に20.42%をかけます。
この違いで、貸主の手取り金額が変わってきます。
5-2 支払と納付
計算した源泉税額を差し引いた金額を貸主に振り込みます。
- 貸主への振込金額 = 請求総額 − 源泉税額
- 税務署への納付 = 源泉税額
そして、翌月10日(または翌月末)までに、税務署に納付します。 納付書は「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」という専用の書類を使います。
5-3 年末の書類提出(支払調書)
源泉徴収を行った場合、翌年の1月31日までに「非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書」を税務署に提出する必要があります。この書類はe-Taxでも提出可能です。
第6章 “納期の特例”は使える?——答えは「使えない」
「源泉徴収の納付は、半年に一度にまとめられる」という「納期の特例」という制度があります。しかし、残念ながらこの制度は、家賃の源泉徴収には適用されません。
納期の特例が使えるのは、給与や税理士、弁護士などへの報酬に限られています。
したがって、家賃の源泉徴収は、以下の期限で「毎月」納付するのが基本です。
- 国内支払:翌月10日
- 海外送金:翌月末日
第7章 遅れたら何が起きる?——ペナルティの真実
もし、うっかり納付期限を過ぎてしまったらどうなるか?
「税務署が来る前に」知っておきたい2つのペナルティがあります。
1) 延滞税
納付期限の翌日から、完納する日まで、日数に応じて自動的にかかるペナルティです。利息のようなものだと考えてください。
2) 不納付加算税
これは、納付を怠ったことに対するペナルティです。
- 税務署からの指摘を受けてから納付した場合:10%
- 指摘を受ける前に、自主的に納付した場合:5%
もし納付漏れに気づいたら、すぐに自主的に納付すれば、ペナルティを半分に抑えることができます。
第8章 よくある誤解&回避策(これで完璧)
これまでの解説で、大半の不安は解消されたと思いますが、最後に現場でよくある誤解をいくつか紹介し、その回避策をまとめます。
誤解1:「貸主が外国籍=必ず源泉」
- 正解: 非居住者かどうか、用途が自宅か事業か、で判断。
- 回避策: 契約前に、貸主の居住区分や用途を確認する。
誤解2:「社宅は“居住用”だから源泉不要」
- 正解: 法人契約の社宅は源泉徴収が必要。
- 回避策: 法人契約の社宅は源泉徴収が必要と理解し、社内フローに組み込む。
誤解3:「海外送金なら源泉不要」
- 正解: 支払者が日本にいるなら、海外送金でも源泉は必要。
- 回避策: 海外送金の月は納付期限が「翌月末」になることを覚えておく。
4) 誤解4:「家賃だけが対象」
- 正解: 礼金や更新料、返還不要の敷金も対象。
- 回避策: 契約書や請求書で一時金の名目を明確にする。
第9章 チェックリスト(契約前/支払前)
最後に、この記事で学んだ知識を「実践」に移すための、超実践的なチェックリストをまとめました。
9-1 契約前チェック(リスクを根こそぎ潰す)
- 貸主の属性確認:個人か法人か、非居住者か。
- 用途確認:自宅用か事業用か。
- 金銭の名目確認:礼金や更新料の有無、消費税の記載方法。
- 役割分担:源泉徴収や納付を誰が担当するか。
9-2 月次の支払前チェック(ToDo 10個)
- 請求書を確認し、源泉徴収の対象額を確定する。
- 税率20.42%で源泉税を計算し、1円未満を切り捨てる。
- 源泉税を差し引いた金額を貸主に振り込む。
- 納付期限(翌月10日か翌月末)を確認し、納付書を準備する。
- 証拠書類(請求書、計算表、送金明細など)を保存する。
9-3 計算を間違えないためのExcel/スプレッドシート式
- 消費税が区分されている場合
- 源泉税額 = ROUNDDOWN(本体金額 * 0.2042, 0)
- 消費税が一括記載の場合
- 源泉税額 = ROUNDDOWN(税込金額 * 0.2042, 0)

第10章 ケーススタディ(数字で理解)
最後に、実際の数字を使って、具体的なケースをシミュレーションしてみましょう。 この事例を参考にすれば、あなたのケースでいくら源泉徴収が必要かがわかります。
ケース1:事務所家賃 月額30万円(+消費税3万円)
- 源泉対象額: 300,000円
- 源泉税: 300,000円 × 20.42% = 61,260円
- 貸主への振込額: 330,000円 – 61,260円 = 268,740円
- 納付期限: 支払月の翌月10日
ケース2:法人契約の借上社宅 月額20万円
- 源泉対象額: 200,000円
- 源泉税: 200,000円 × 20.42% = 40,840円
- 貸主への振込額: 200,000円 – 40,840円 = 159,160円
- 納付期限: 支払月の翌月10日
ケース3:個人が自宅として借りる 月額15万円
- 結論: 源泉徴収は不要です。
- 振込額: 150,000円(満額)
さいごに
この記事をここまで読んでくださったあなたは、もう「外国人オーナーとの契約」に不安を感じることはないはずです。
私も、難病を抱えながらも、一歩ずつ前に進み、正しい知識を得ることで不安を希望に変えてきました。あなたも、今回の学びを活かせば、必ずやこの課題を乗り越えられます。
「わからない」をそのままにせず、まずは今日学んだ「3つのポイント」と「チェックリスト」を元に、一歩行動を起こしてみてください。その一歩が、未来の安心につながります。
もし、さらに詳しい情報や個別の相談が必要なら、専門家への相談も検討してみてください。正しい知識は、あなたを強く守ってくれます。
さあ、今日から実践あるのみ!一緒に人生の課題を乗り越えていきましょう。