- はじめに なぜ今、パスワードからパスキーへ?Googleからの緊急メッセージ
- あなたの知らない「2つの脅威」 パスワードが狙われる理由
- パスキーとは?未来の認証システムを徹底解説
- パスキーがもたらす3つの大きなメリット
- 【図解】パスキー設定ガイド 今日から始める安全なログイン
- パスキーを最大限に活用するための運用ルールと追加セキュリティ対策
- よくある疑問と注意点
- まとめ パスキーで、もっと安心・快適なデジタルライフへ
- はじめに なぜ今、パスワードからパスキーへ?Googleからの緊急メッセージ
- あなたの知らない「2つの脅威」 パスワードが狙われる理由
- パスキーとは?未来の認証システムを徹底解説
- パスキーがもたらす3つの大きなメリット
- 【図解】パスキー設定ガイド 今日から始める安全なログイン
- パスキーを最大限に活用するための運用ルールと追加セキュリティ対策
- よくある疑問と注意点
- まとめ パスキーで、もっと安心・快適なデジタルライフへ
はじめに なぜ今、パスワードからパスキーへ?Googleからの緊急メッセージ
私たちのデジタルライフは、インターネットと切っても切り離せないものになりました。オンラインショッピング、SNS、銀行取引、仕事のツールまで、あらゆる場面で「アカウント」と「パスワード」が使われています。しかし、この長年親しんできたパスワードシステムが、今、かつてないほどの危機に瀕しています。
Googleは、世界中で20億人ものユーザーに対し、従来のパスワードの使用を停止し、より安全な「パスキー」への移行を強く推奨しています。 これは単なる推奨ではなく、現代のサイバー脅威から私たちを守るための、まさに「緊急メッセージ」と言えるでしょう。なぜGoogleはこれほどまでに強くパスキーへの移行を促すのでしょうか?その背景には、パスワードの構造的な限界と、驚くほど巧妙化し、私たちの想像を超えるスピードで進化するサイバー攻撃の現実があります。
あなたの知らない「2つの脅威」 パスワードが狙われる理由
パスワードが危険視される理由は、大きく分けて2つの深刻な脅威にあります。一つは古典的でありながら進化し続ける「フィッシング詐欺」、そしてもう一つは、よりステルス性が高く、恐ろしい「インフォスティーラー」と呼ばれるマルウェアです。
脅威1 巧妙化するフィッシング詐欺とパスワードの脆弱性
フィッシング詐欺は、偽のウェブサイトやメール、メッセージを使って、私たちを騙し、パスワードやクレジットカード情報といった認証情報を不正に入手する手口です。例えば、銀行や大手ECサイトを装ったメールが届き、そこに記載されたURLをクリックすると、本物そっくりの偽サイトに誘導されます。そこでログイン情報を入力してしまうと、その情報が攻撃者の手に渡ってしまうのです。
最近の調査では、サイバーニュースの研究チームが、今年に入ってすでに160億ものアカウント情報が流出していたことを明らかにしました。この膨大なデータには、Googleアカウントも大量に含まれていたと報告されています。これらの流出の多くはフィッシング詐欺によるものとされていますが、パスワード自体の脆弱性がその根本にあります。
- 推測されやすいパスワード: 誕生日や簡単な単語、よくある数字の羅列など、推測されやすいパスワードは、攻撃者による「辞書攻撃」や「ブルートフォース攻撃」(総当たり攻撃)の格好の標的となります。
- パスワードの使い回し: 多くの人が複数のサービスで同じ、または似たパスワードを使い回しています。一度どこかのサービスからパスワードが流出すると、攻撃者はその情報を他のサービスでも試す「クレデンシャルスタッフィング攻撃」(アカウントリスト攻撃)を行い、芋づる式に多くのアカウントが乗っ取られるリスクがあります。
- 記憶の負担と複雑性の限界: 安全なパスワードは複雑で長く、サービスごとに異なるものであるべきですが、これをすべて記憶するのは非常に困難です。結果として、ユーザーは簡単なパスワードを選んだり、使い回したりしがちになり、セキュリティリスクを高めてしまいます。
このように、パスワードはユーザーの行動や意識に大きく依存する認証方法であり、人間の記憶力や注意散漫さ、判断ミスがセキュリティの穴となる限界を抱えています。
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脅威2 あなたの全情報を抜き取る「インフォスティーラー」の猛威
フィッシング詐欺以上に深刻で、Googleがパスキー移行を強く推奨する大きな要因となっているのが、「インフォスティーラー」と呼ばれる情報窃取型マルウェアの台頭です。これは、従来のマルウェアとは一線を画す、非常に危険な存在です。
インフォスティーラーは、偽の広告(マルバタイジング)、海賊版ソフトウェアのダウンロード、怪しい添付ファイル付きメール、悪意のあるブラウザ拡張機能など、様々な経路であなたのデバイスに侵入します。さらに、「ClickFix」と呼ばれる、偽のCAPTCHAを表示させてユーザーに操作させる巧妙な手法で感染を広げるケースも報告されています。
一度インフォスティーラーに感染すると、あなたのデバイスに保存されたほぼすべての機密情報が盗まれる可能性があります。 特に恐ろしいのは以下の点です。
- ブラウザの全パスワードを窃取: Google Chromeなどのブラウザに保存されたパスワードは、インフォスティーラーの格好の標的です。感染すると、保存されているIDとパスワードの組み合わせがすべて攻撃者の手に渡ってしまいます。
- クレジットカード情報を窃取: ブラウザに保存されたクレジットカード情報も、同様に抜き取られます。
- 2段階認証すら突破する機能: 従来のセキュリティ対策の切り札とされてきた2段階認証も、インフォスティーラーの前では万全ではありません。中には、デバイスの画面を定期的にキャプチャするスクリーンショット機能や、ログイン後に発行されるセッション情報を盗み取るセッションハイジャック機能により、2段階認証を回避して正規のセッションを乗っ取るものも存在します。これにより、たとえ2段階認証を設定していても、あなたの口座が乗っ取られるリスクがあるのです。
インフォスティーラーの最大の特徴は、ユーザーに気づかれずにバックグラウンドで密かに動作し、長期間にわたって情報を収集し続ける「ステルス性」にあります。従来のマルウェアのように、データの暗号化やシステム破壊といった目に見える被害は引き起こさないため、感染に気づくのが非常に難しいのです。
この脅威の深刻さは、単一の認証情報だけでなく、あなたのデジタルライフ全体(銀行口座、証券口座、クレジットカード情報を含む)を危険にさらす可能性を意味します。従来のセキュリティ対策だけでは不十分であるという認識が、Googleがパスキーへの移行を強く推奨する理由なのです。
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パスキーとは?未来の認証システムを徹底解説
パスワードの限界と新たな脅威が明らかになる中で、Googleが提唱する「パスキー」は、オンライン認証の未来を担う画期的なシステムとして注目されています。
パスキーの基本概念と仕組み なぜ安全なのか?
パスキーは、従来のパスワードに代わる新しい認証方法です。ユーザーは、スマートフォンやPCのロック解除に使う指紋認証、顔認証、またはPINコードを使って、Googleアカウントに安全かつ簡単にログインできます。これにより、複雑なパスワードを覚える必要がなく、よりセキュアにサービスを利用できるようになります。
パスキーの安全性の根幹にあるのは、現代の暗号技術の基盤である「公開鍵暗号」技術です。この仕組みは、以下のステップで動作し、パスワードを「送らない」ことでセキュリティを飛躍的に高めています。
- キーペアの生成: パスキーの利用を申請すると、あなたのデバイスとサービスの間で「公開鍵」と「秘密鍵」という一対のキーペアが生成されます。
- 秘密鍵のデバイス保存: 生成された「秘密鍵」は、あなたのデバイス(スマートフォンやPCなど)に安全に保存され、決してデバイスの外に出ることはありません。 これは、パスワードがサーバーに保存される従来の仕組みとの決定的な違いです。
- 公開鍵のサーバー送信: 一方、「公開鍵」はサービス側のサーバーに送信され、公開されます。
- ログイン要求とチャレンジコード: あなたがサービスにアクセスし、ログインを試みると、サービス側のサーバーはあなたのデバイスに「チャレンジコード」と呼ばれる、その時々で生成されるランダムな文字列を送信します。
- 本人確認(生体認証/PIN): あなたはデバイス上で、指紋認証や顔認証といった生体認証、あるいはPINコードを入力して本人確認を行います。この生体情報はデバイス内にのみ保存され、外部には送信されません。
- 電子署名の生成: 本人確認が成功すると、あなたのデバイスは、デバイス内に保存されている秘密鍵を使って、サーバーから受け取ったチャレンジコードを暗号化します。これを「電子署名」と呼びます。
- 署名の検証とログイン完了: サーバーは、あなたのデバイスから受け取った電子署名を、事前に受け取っていた公開鍵を使って復号化し、自身が送ったチャレンジコードと一致するかを検証します。一致すれば、秘密鍵の持ち主(つまり本人)であることが確認され、ログインが完了します。
この仕組みにより、たとえあなたがフィッシングサイトに誘導されたとしても、秘密鍵はあなたのデバイスの外に出ることはありません。偽のフィッシングサイトでは、正規のドメインとの間でしか成立しない「チャレンジコード」と「電子署名」のやり取りができないため、認証が機能しないのです。これにより、フィッシング詐欺という最も一般的なサイバー攻撃手法に対して、技術的に非常に強力な防御メカニズムが提供されます。
パスワードとの決定的な違い 比較表で一目瞭然
パスキーがパスワードと決定的に異なる点は、そのセキュリティモデルと利便性にあります。
比較項目 | パスワード | パスキー |
記憶の必要性 | 必要(複雑なほど良いが、覚えにくい) | 不要(生体認証/PINでデバイスが記憶) |
漏洩リスク | 高い(サーバー側からの流出、フィッシング、マルウェア) | ほぼなし(秘密鍵はデバイスにローカル保存、サーバーに漏洩しない) |
フィッシング耐性 | 低い(偽サイトに騙されるリスク) | 非常に高い(偽サイトでは認証が成立しない) |
インフォスティーラー耐性 | 低い(ブラウザに保存されたパスワードが狙われる) | 高い(パスワードをブラウザに保存する必要がない) |
利便性 | 複雑な設定、定期変更、記憶負担 | 生体認証で簡単、記憶不要、自動同期 |
生体認証データの扱い | なし | デバイスにのみ保存、Googleと共有なし |
デバイス間同期 | 一部可能(パスワードマネージャー) | Googleアカウントで自動同期 |
パスワードはサーバーに保存されるため、サーバー側のデータ侵害が発生すると、パスワード情報が流出するリスクがありました。しかし、パスキーは秘密鍵がユーザーのデバイスにローカル保存され、サーバーには公開鍵のみが保存されるため、サーバー側のデータ侵害が発生しても、ユーザーの秘密鍵が漏洩することはありません。これにより、ハッキングや情報漏洩のリスクが大幅に減少します。
パスキーは、パスワードの記憶や入力、フィッシングサイトの判別といった「ユーザーの行動に依存するリスク」を、公開鍵暗号技術とデバイス認証によって「技術的に」解決します。これにより、ユーザーの不注意や知識不足によるセキュリティ事故のリスクを大幅に低減できるのです。
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パスキーがもたらす3つの大きなメリット
パスキーは、単にパスワードを置き換えるだけでなく、私たちのオンライン体験を根本から変える大きなメリットをもたらします。
【メリット1】圧倒的なセキュリティ向上 ハッキングや情報漏洩からあなたを守る
パスキーは、パスワードのように推測されたり、使い回されたりすることがありません。これにより、ハッキングや情報漏洩のリスクが劇的に低減します。フィッシング攻撃やアカウントリスト攻撃といった、従来のパスワードベースの認証システムに関連するセキュリティリスクを根本から排除できるのです。
さらに、インフォスティーラーのような高度なマルウェアに対しても、パスキーは非常に有効な防御策となります。なぜなら、パスキーの秘密鍵はデバイス内に安全に保存され、ブラウザにパスワードを保存する必要がないため、マルウェアによる認証情報の窃取リスクが格段に低減するからです。これは、多層防御戦略において、最も脆弱だった「ユーザー認証」の層を強固にするものであり、全体的なセキュリティレベルを底上げする効果があります。
【メリット2】驚くほど簡単なログイン体験 パスワードを覚える必要はもうない!
もう、複雑なパスワードをいくつも覚える必要はありません。パスキーは、あなたが普段からスマートフォンのロック解除に使っている指紋認証や顔認証、あるいはPINコードを使って、素早くログインすることを可能にします。
ログインプロセスが簡略化され、デバイスが認証を自動的に行うため、ユーザーはより迅速かつ容易にサービスにアクセスできるようになります。また、定期的にパスワードを変更する手間も省け、パスワードの使い回しによるリスクも自然と解消されます。セキュリティ対策が利便性を犠牲にすることが多かったこれまでの常識を覆し、パスキーは「セキュリティと利便性の両立」を実現します。
【メリット3】安心のプライバシー保護 生体情報はあなたのデバイスにのみ保存
パスキーの利用において、あなたの指紋や顔認証のデータがGoogleなどのサーバーに送られることは一切ありません。これらの生体情報は、あなたのデバイスにのみローカルに保存され、認証のためだけに利用されます。
生体認証は、デバイスの正当なユーザーによる操作であることを確認するために使用され、生体認証データ自体がサーバーに送信されることはありません。この設計により、プライバシーに関する心配は不要であり、ユーザーは安心してパスキーを利用することができます。この透明性は、技術的な安全性だけでなく、パスキーシステムに対するユーザーの信頼を構築する上で極めて重要な要素です。
【図解】パスキー設定ガイド 今日から始める安全なログイン
パスキーのメリットを理解したら、次は実際に設定してみましょう。設定は非常に簡単で、数分で完了します。
パスキー設定に必要なもの
パスキーを設定するには、いくつかの基本的な条件を満たす必要があります。
- Googleアカウント: パスキーを設定する対象となるGoogleアカウントが必要です。
- パスキー対応デバイス:
- スマートフォン: iOS 16以降、またはAndroid 9以降のバージョンが必要です。
- PC: Windows 10以降、macOS Ventura以降、またはChromeOS 109以降のバージョンが必要です。
- FIDO2プロトコルに対応したハードウェアセキュリティキーも利用できます。
- 最新のWebブラウザ:
- Google Chrome 109以降
- Safari 16以降
- Microsoft Edge 109以降
- Mozilla Firefox 122以降お使いのブラウザが最新バージョンであることを確認してください。
- 必須設定:
- 画面ロックの有効化: デバイスのPIN、パターン、指紋認証、顔認証などの画面ロックが有効になっている必要があります。これが無効になっているとパスキーは使用できません。
- iOS/macOSの場合:iCloudキーチェーンの有効化: Appleデバイスでは、パスキーの保存と同期のためにiCloudキーチェーンが有効になっている必要があります。設定時に有効化を求められることがあります。
- Bluetoothの有効化: スマートフォンのパスキーを使って別のPCにログインする場合に必要です。
お使いのオペレーティングシステムとブラウザが最新の状態であることを確認することが、パスキーの利便性を最大限に引き出す鍵となります。また、シークレットモードではパスキーを作成または使用できない場合がある点も覚えておきましょう。
PC・スマートフォンでの具体的な設定手順
パスキーの設定は非常に直感的です。
- Googleアカウント管理ページにアクセス:ブラウザまたはGoogleアプリから、Googleアカウントの「管理」ページにアクセスし、「セキュリティ」タブへ進みます。または、直接 myaccount.google.com/signinoptions/passkeys にアクセスすることも可能です。
- 「パスキー」を選択:「Googleへのログイン方法」セクションにある「パスキー」の項目をクリック(またはタップ)します。
- パスキーの作成を開始:画面に表示される「パスキーを作成」ボタンを押します。その後、「続行」をタップし、指示に従います。この際、セキュリティのためにGoogleアカウントのパスワード入力による本人確認が求められることがあります。
- デバイス認証の実行:お使いのデバイス(PCまたはスマートフォン)の画面に、指紋認証、顔認証、またはPINコードの入力が求められます。指示に従って認証を行います。この認証は、あなたのデバイスが正当なユーザーであることを確認するためのものです。
- 登録完了:認証が成功すると、「パスキーが追加されました」というメッセージが表示され、登録完了です。次回以降、このデバイスからGoogleアカウントにログインする際には、パスワードを入力する代わりに、設定したパスキー(生体認証やPIN)で簡単にログインできるようになります。
複数デバイスでのパスキー利用について:
スマートフォンとPCなど、複数のデバイスでパスキー認証を利用したい場合は、上記の手順を各デバイスから個別に行う必要があります。パスキーはデバイスに紐付いているため、新たな端末を利用する際には、都度その端末でパスキーを登録する必要があります。
しかし、Googleアカウントでログインしているデバイス間では、パスキーが自動的に同期される便利な機能もあります。AndroidデバイスではGoogleパスワードマネージャーに、iOSデバイスではiCloudキーチェーンにパスキーが保存され、同じGoogleアカウントでログインしている他のデバイスと同期されます。これにより、一度設定すれば、複数のデバイスでパスキーを利用できる利便性が提供されます。
パスキーを最大限に活用するための運用ルールと追加セキュリティ対策
パスキーを設定したからといって、それで全てが万全というわけではありません。パスキーのセキュリティ効果を最大化し、既存のデジタル資産を安全に管理するためには、いくつかの運用ルールと追加の対策を講じることが重要です。
1. 「パスキー優先」の自分ルールを設定する
パスキーを設定しても、既存のパスワードが自動的に消滅するわけではありません。多くのウェブサイトやサービスがパスキーに対応するまでには時間がかかり、パスワードとパスキーが共存する「過渡期」が存在します。このため、パスキー以外のログインは使用しないという「自分ルール」を設定し、フィッシング詐欺サイトへのパスワード入力を防ぐことが極めて重要です。
Googleアカウントの設定では、「可能な場合はパスワードをスキップする」という設定をオフにすることで、パスワードを常に先に使用するデフォルト設定に戻すことも可能です。しかし、パスキーのメリットを最大限に活かすには、パスキー優先のログインを強く推奨します。
特にセキュリティを強化したいユーザー向けには、Googleの「高度な保護機能」プログラムがあります。このプログラムに登録すると、より安全にログインするためパスキーまたはセキュリティキーでのログインが必須となり、サードパーティ製アプリによるデータアクセス制限や不審なダウンロードチェック強化も行われます。パスキーは技術的に強固ですが、ユーザー自身が「パスキー以外のログインはしない」という意識的なルールを持つことが、セキュリティの穴を埋める上で不可欠です。
2. ブラウザに保存されたGoogleアカウントのパスワードを削除する
インフォスティーラー対策として、Googleアカウントのログイン情報をブラウザから削除することを強く推奨します。これにより、万一マルウェアに感染してもアカウントが守られる可能性が大幅に高まります。
Google Chromeなどのブラウザは、パスワード、住所、お支払い情報を保存し、オンラインフォームに自動入力する便利な機能を提供しています。しかし、インフォスティーラーがブラウザに保存されたパスワードを窃取するという明確な脅威がある以上、この利便性はセキュリティリスクとトレードオフの関係にあります。パスキーへの移行は、パスワードを覚える手間をなくすことで利便性を確保しつつ、セキュリティを向上させる「最適解」を提供します。したがって、パスキー導入後は、ブラウザに保存されたパスワードを削除することで、過去の利便性追求がもたらしたリスクを解消することが推奨されます。
ブラウザに保存されたパスワードは、Chromeの設定(chrome://settings/passwords
)から簡単に管理・削除できます。
3. クレジットカード情報の自動入力をOFFにする
クレジットカード情報も、パスワードと同様にインフォスティーラーの主要な標的です。Google Payに保存されているクレジットカード情報については、削除せず、「保存したお支払い方法を使ってお支払いフォームに自動入力します」のチェックを外すことでセキュリティを向上できます。
Chromeでは、お支払い方法の保存と自動入力をオフにすることができます。Google Payに保存されたお支払い情報は、payments.google.com
から編集または削除が可能です。また、Chromeでお支払い方法の保存と入力の確認メッセージを表示しないように設定することも可能です。
特に、セキュリティコードの自動入力が不安な場合は、Chromeの設定で「セキュリティコードの保存」をオフにすることができます。これにより、保存されているすべてのカードのセキュリティコードがGoogleアカウントとお使いのデバイスから削除され、新しいセキュリティコードは保存されなくなります。これは、支払い情報に対する「多層的な保護」の考え方であり、最も機密性の高い情報を保護するために複数の設定を組み合わせる重要性を示しています。
よくある疑問と注意点
パスキーの導入にあたって、ユーザーが抱きやすい疑問や、注意すべき点をまとめました。
パスキーを設定してもパスワードは残る?
はい、パスキーを設定しても、既存のパスワードや2段階認証が自動的に削除されることはありません。必要に応じて併用可能です。デフォルトではパスキー優先のログイン方法に切り替わりますが、パスワードを常に先に使用したい場合はGoogleアカウント設定で変更できます。パスキーへの移行は一朝一夕には完了せず、パスワードとパスキーが共存する「過渡期」が存在することを理解し、適切な管理を続けることが重要です。
デバイス紛失時の対処法
パスキーはデバイスに紐付いているため、端末の紛失や故障は懸念事項となり得ます。万一の事態に備え、Googleアカウントの復旧手段(バックアップコードや他の認証方法)も準備しておくと安心です。例えば、バックアップ用の電話番号やメールアドレスを最新の状態に保つ、信頼できる家族や友人を復旧オプションに追加する、あるいはハードウェアセキュリティキーを代替認証方法として設定するといった「復旧計画」を事前に立てておくことが極めて重要です。
複数デバイスでのパスキー利用
Googleアカウントでログインしている複数のデバイスでパスキーを利用できます。iOSとmacOSの間ではiCloudキーチェーンを通じて、AndroidとWindowsの間ではGoogleアカウントを通じてパスキーが同期されます。ただし、異なるエコシステム間(例:iPhoneとWindows PC)では、各デバイスで個別にパスキーを設定する必要がある場合もあります。パスキーはFIDOアライアンスが推進する標準技術であり、GoogleだけでなくAppleやMicrosoftも採用しているため、将来的にはよりシームレスな体験が期待されます。
職場や学校のGoogleアカウントでの注意点
学校または職場を通じて取得したGoogle Workspaceアカウントの場合、管理者の設定によってパスキーの使用が制限されている場合があります。パスキーだけではログインできない場合や、2段階認証の2つ目の要素としてのみ使用できる場合があります。個人アカウントとはセキュリティポリシーが異なる可能性があるため、組織のIT部門の指示に従うようにしてください。
まとめ パスキーで、もっと安心・快適なデジタルライフへ
Googleが20億人のユーザーにパスキーへの移行を警告している背景には、パスワードの限界と、インフォスティーラーのような高度なサイバー脅威の深刻化があります。パスキーは、公開鍵暗号技術と生体認証を組み合わせることで、フィッシング詐欺やマルウェアによる情報窃取からユーザーを強力に保護し、同時にパスワードを覚える手間をなくすという、セキュリティと利便性の両面で大きなメリットを提供します。生体情報がデバイスにのみ保存され、Googleと共有されないというプライバシー保護の設計も、ユーザーの信頼を構築する上で重要な要素です。
パスキーの導入は、単なる認証方法の変更にとどまらず、オンラインセキュリティにおける「パラダイムシフト」を象徴しています。これまでのセキュリティ対策が「ユーザーの努力」に大きく依存していたのに対し、パスキーは「技術の力」でその負担を軽減し、より堅牢な保護を提供するものです。この変化は、ユーザーがセキュリティを「面倒なもの」ではなく「当たり前で快適なもの」として捉えるようになる可能性を秘めています。
パスキーは、デジタル社会における信頼性と安全性を高めるための重要な進化であり、その採用は個人の利益だけでなく、インターネット全体のセキュリティ向上に貢献します。あなたのGoogleアカウントの「セキュリティ」設定から、ぜひパスキーの導入を検討してください。パスキーは、あなたのオンライン生活を劇的に安全で快適なものに変える、未来の認証システムとなるでしょう。
はじめに なぜ今、パスワードからパスキーへ?Googleからの緊急メッセージ
私たちのデジタルライフは、インターネットと切っても切り離せないものになりました。オンラインショッピング、SNS、銀行取引、仕事のツールまで、あらゆる場面で「アカウント」と「パスワード」が使われています。しかし、この長年親しんできたパスワードシステムが、今、かつてないほどの危機に瀕しています。
Googleは、世界中で20億人ものユーザーに対し、従来のパスワードの使用を停止し、より安全な「パスキー」への移行を強く推奨しています。 これは単なる推奨ではなく、現代のサイバー脅威から私たちを守るための、まさに「緊急メッセージ」と言えるでしょう。なぜGoogleはこれほどまでに強くパスキーへの移行を促すのでしょうか?その背景には、パスワードの構造的な限界と、驚くほど巧妙化し、私たちの想像を超えるスピードで進化するサイバー攻撃の現実があります。
あなたの知らない「2つの脅威」 パスワードが狙われる理由
パスワードが危険視される理由は、大きく分けて2つの深刻な脅威にあります。一つは古典的でありながら進化し続ける「フィッシング詐欺」、そしてもう一つは、よりステルス性が高く、恐ろしい「インフォスティーラー」と呼ばれるマルウェアです。
脅威1 巧妙化するフィッシング詐欺とパスワードの脆弱性
フィッシング詐欺は、偽のウェブサイトやメール、メッセージを使って、私たちを騙し、パスワードやクレジットカード情報といった認証情報を不正に入手する手口です。例えば、銀行や大手ECサイトを装ったメールが届き、そこに記載されたURLをクリックすると、本物そっくりの偽サイトに誘導されます。そこでログイン情報を入力してしまうと、その情報が攻撃者の手に渡ってしまうのです。
最近の調査では、サイバーニュースの研究チームが、今年に入ってすでに160億ものアカウント情報が流出していたことを明らかにしました。この膨大なデータには、Googleアカウントも大量に含まれていたと報告されています。これらの流出の多くはフィッシング詐欺によるものとされていますが、パスワード自体の脆弱性がその根本にあります。
- 推測されやすいパスワード: 誕生日や簡単な単語、よくある数字の羅列など、推測されやすいパスワードは、攻撃者による「辞書攻撃」や「ブルートフォース攻撃」(総当たり攻撃)の格好の標的となります。
- パスワードの使い回し: 多くの人が複数のサービスで同じ、または似たパスワードを使い回しています。一度どこかのサービスからパスワードが流出すると、攻撃者はその情報を他のサービスでも試す「クレデンシャルスタッフィング攻撃」(アカウントリスト攻撃)を行い、芋づる式に多くのアカウントが乗っ取られるリスクがあります。
- 記憶の負担と複雑性の限界: 安全なパスワードは複雑で長く、サービスごとに異なるものであるべきですが、これをすべて記憶するのは非常に困難です。結果として、ユーザーは簡単なパスワードを選んだり、使い回したりしがちになり、セキュリティリスクを高めてしまいます。
このように、パスワードはユーザーの行動や意識に大きく依存する認証方法であり、人間の記憶力や注意散漫さ、判断ミスがセキュリティの穴となる限界を抱えています。
お友達や同僚に勧めたいセキュリティソフト7年連続 No.1
脅威2 あなたの全情報を抜き取る「インフォスティーラー」の猛威
フィッシング詐欺以上に深刻で、Googleがパスキー移行を強く推奨する大きな要因となっているのが、「インフォスティーラー」と呼ばれる情報窃取型マルウェアの台頭です。これは、従来のマルウェアとは一線を画す、非常に危険な存在です。
インフォスティーラーは、偽の広告(マルバタイジング)、海賊版ソフトウェアのダウンロード、怪しい添付ファイル付きメール、悪意のあるブラウザ拡張機能など、様々な経路であなたのデバイスに侵入します。さらに、「ClickFix」と呼ばれる、偽のCAPTCHAを表示させてユーザーに操作させる巧妙な手法で感染を広げるケースも報告されています。
一度インフォスティーラーに感染すると、あなたのデバイスに保存されたほぼすべての機密情報が盗まれる可能性があります。 特に恐ろしいのは以下の点です。
- ブラウザの全パスワードを窃取: Google Chromeなどのブラウザに保存されたパスワードは、インフォスティーラーの格好の標的です。感染すると、保存されているIDとパスワードの組み合わせがすべて攻撃者の手に渡ってしまいます。
- クレジットカード情報を窃取: ブラウザに保存されたクレジットカード情報も、同様に抜き取られます。
- 2段階認証すら突破する機能: 従来のセキュリティ対策の切り札とされてきた2段階認証も、インフォスティーラーの前では万全ではありません。中には、デバイスの画面を定期的にキャプチャするスクリーンショット機能や、ログイン後に発行されるセッション情報を盗み取るセッションハイジャック機能により、2段階認証を回避して正規のセッションを乗っ取るものも存在します。これにより、たとえ2段階認証を設定していても、あなたの口座が乗っ取られるリスクがあるのです。
インフォスティーラーの最大の特徴は、ユーザーに気づかれずにバックグラウンドで密かに動作し、長期間にわたって情報を収集し続ける「ステルス性」にあります。従来のマルウェアのように、データの暗号化やシステム破壊といった目に見える被害は引き起こさないため、感染に気づくのが非常に難しいのです。
この脅威の深刻さは、単一の認証情報だけでなく、あなたのデジタルライフ全体(銀行口座、証券口座、クレジットカード情報を含む)を危険にさらす可能性を意味します。従来のセキュリティ対策だけでは不十分であるという認識が、Googleがパスキーへの移行を強く推奨する理由なのです。
おすすめ!世界で一番売れているーノートン
パスキーとは?未来の認証システムを徹底解説
パスワードの限界と新たな脅威が明らかになる中で、Googleが提唱する「パスキー」は、オンライン認証の未来を担う画期的なシステムとして注目されています。
パスキーの基本概念と仕組み なぜ安全なのか?
パスキーは、従来のパスワードに代わる新しい認証方法です。ユーザーは、スマートフォンやPCのロック解除に使う指紋認証、顔認証、またはPINコードを使って、Googleアカウントに安全かつ簡単にログインできます。これにより、複雑なパスワードを覚える必要がなく、よりセキュアにサービスを利用できるようになります。
パスキーの安全性の根幹にあるのは、現代の暗号技術の基盤である「公開鍵暗号」技術です。この仕組みは、以下のステップで動作し、パスワードを「送らない」ことでセキュリティを飛躍的に高めています。
- キーペアの生成: パスキーの利用を申請すると、あなたのデバイスとサービスの間で「公開鍵」と「秘密鍵」という一対のキーペアが生成されます。
- 秘密鍵のデバイス保存: 生成された「秘密鍵」は、あなたのデバイス(スマートフォンやPCなど)に安全に保存され、決してデバイスの外に出ることはありません。 これは、パスワードがサーバーに保存される従来の仕組みとの決定的な違いです。
- 公開鍵のサーバー送信: 一方、「公開鍵」はサービス側のサーバーに送信され、公開されます。
- ログイン要求とチャレンジコード: あなたがサービスにアクセスし、ログインを試みると、サービス側のサーバーはあなたのデバイスに「チャレンジコード」と呼ばれる、その時々で生成されるランダムな文字列を送信します。
- 本人確認(生体認証/PIN): あなたはデバイス上で、指紋認証や顔認証といった生体認証、あるいはPINコードを入力して本人確認を行います。この生体情報はデバイス内にのみ保存され、外部には送信されません。
- 電子署名の生成: 本人確認が成功すると、あなたのデバイスは、デバイス内に保存されている秘密鍵を使って、サーバーから受け取ったチャレンジコードを暗号化します。これを「電子署名」と呼びます。
- 署名の検証とログイン完了: サーバーは、あなたのデバイスから受け取った電子署名を、事前に受け取っていた公開鍵を使って復号化し、自身が送ったチャレンジコードと一致するかを検証します。一致すれば、秘密鍵の持ち主(つまり本人)であることが確認され、ログインが完了します。
この仕組みにより、たとえあなたがフィッシングサイトに誘導されたとしても、秘密鍵はあなたのデバイスの外に出ることはありません。偽のフィッシングサイトでは、正規のドメインとの間でしか成立しない「チャレンジコード」と「電子署名」のやり取りができないため、認証が機能しないのです。これにより、フィッシング詐欺という最も一般的なサイバー攻撃手法に対して、技術的に非常に強力な防御メカニズムが提供されます。
パスワードとの決定的な違い 比較表で一目瞭然
パスキーがパスワードと決定的に異なる点は、そのセキュリティモデルと利便性にあります。
比較項目 | パスワード | パスキー |
記憶の必要性 | 必要(複雑なほど良いが、覚えにくい) | 不要(生体認証/PINでデバイスが記憶) |
漏洩リスク | 高い(サーバー側からの流出、フィッシング、マルウェア) | ほぼなし(秘密鍵はデバイスにローカル保存、サーバーに漏洩しない) |
フィッシング耐性 | 低い(偽サイトに騙されるリスク) | 非常に高い(偽サイトでは認証が成立しない) |
インフォスティーラー耐性 | 低い(ブラウザに保存されたパスワードが狙われる) | 高い(パスワードをブラウザに保存する必要がない) |
利便性 | 複雑な設定、定期変更、記憶負担 | 生体認証で簡単、記憶不要、自動同期 |
生体認証データの扱い | なし | デバイスにのみ保存、Googleと共有なし |
デバイス間同期 | 一部可能(パスワードマネージャー) | Googleアカウントで自動同期 |
パスワードはサーバーに保存されるため、サーバー側のデータ侵害が発生すると、パスワード情報が流出するリスクがありました。しかし、パスキーは秘密鍵がユーザーのデバイスにローカル保存され、サーバーには公開鍵のみが保存されるため、サーバー側のデータ侵害が発生しても、ユーザーの秘密鍵が漏洩することはありません。これにより、ハッキングや情報漏洩のリスクが大幅に減少します。
パスキーは、パスワードの記憶や入力、フィッシングサイトの判別といった「ユーザーの行動に依存するリスク」を、公開鍵暗号技術とデバイス認証によって「技術的に」解決します。これにより、ユーザーの不注意や知識不足によるセキュリティ事故のリスクを大幅に低減できるのです。
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パスキーがもたらす3つの大きなメリット
パスキーは、単にパスワードを置き換えるだけでなく、私たちのオンライン体験を根本から変える大きなメリットをもたらします。
【メリット1】圧倒的なセキュリティ向上 ハッキングや情報漏洩からあなたを守る
パスキーは、パスワードのように推測されたり、使い回されたりすることがありません。これにより、ハッキングや情報漏洩のリスクが劇的に低減します。フィッシング攻撃やアカウントリスト攻撃といった、従来のパスワードベースの認証システムに関連するセキュリティリスクを根本から排除できるのです。
さらに、インフォスティーラーのような高度なマルウェアに対しても、パスキーは非常に有効な防御策となります。なぜなら、パスキーの秘密鍵はデバイス内に安全に保存され、ブラウザにパスワードを保存する必要がないため、マルウェアによる認証情報の窃取リスクが格段に低減するからです。これは、多層防御戦略において、最も脆弱だった「ユーザー認証」の層を強固にするものであり、全体的なセキュリティレベルを底上げする効果があります。
【メリット2】驚くほど簡単なログイン体験 パスワードを覚える必要はもうない!
もう、複雑なパスワードをいくつも覚える必要はありません。パスキーは、あなたが普段からスマートフォンのロック解除に使っている指紋認証や顔認証、あるいはPINコードを使って、素早くログインすることを可能にします。
ログインプロセスが簡略化され、デバイスが認証を自動的に行うため、ユーザーはより迅速かつ容易にサービスにアクセスできるようになります。また、定期的にパスワードを変更する手間も省け、パスワードの使い回しによるリスクも自然と解消されます。セキュリティ対策が利便性を犠牲にすることが多かったこれまでの常識を覆し、パスキーは「セキュリティと利便性の両立」を実現します。
【メリット3】安心のプライバシー保護 生体情報はあなたのデバイスにのみ保存
パスキーの利用において、あなたの指紋や顔認証のデータがGoogleなどのサーバーに送られることは一切ありません。これらの生体情報は、あなたのデバイスにのみローカルに保存され、認証のためだけに利用されます。
生体認証は、デバイスの正当なユーザーによる操作であることを確認するために使用され、生体認証データ自体がサーバーに送信されることはありません。この設計により、プライバシーに関する心配は不要であり、ユーザーは安心してパスキーを利用することができます。この透明性は、技術的な安全性だけでなく、パスキーシステムに対するユーザーの信頼を構築する上で極めて重要な要素です。
【図解】パスキー設定ガイド 今日から始める安全なログイン
パスキーのメリットを理解したら、次は実際に設定してみましょう。設定は非常に簡単で、数分で完了します。
パスキー設定に必要なもの
パスキーを設定するには、いくつかの基本的な条件を満たす必要があります。
- Googleアカウント: パスキーを設定する対象となるGoogleアカウントが必要です。
- パスキー対応デバイス:
- スマートフォン: iOS 16以降、またはAndroid 9以降のバージョンが必要です。
- PC: Windows 10以降、macOS Ventura以降、またはChromeOS 109以降のバージョンが必要です。
- FIDO2プロトコルに対応したハードウェアセキュリティキーも利用できます。
- 最新のWebブラウザ:
- Google Chrome 109以降
- Safari 16以降
- Microsoft Edge 109以降
- Mozilla Firefox 122以降お使いのブラウザが最新バージョンであることを確認してください。
- 必須設定:
- 画面ロックの有効化: デバイスのPIN、パターン、指紋認証、顔認証などの画面ロックが有効になっている必要があります。これが無効になっているとパスキーは使用できません。
- iOS/macOSの場合:iCloudキーチェーンの有効化: Appleデバイスでは、パスキーの保存と同期のためにiCloudキーチェーンが有効になっている必要があります。設定時に有効化を求められることがあります。
- Bluetoothの有効化: スマートフォンのパスキーを使って別のPCにログインする場合に必要です。
お使いのオペレーティングシステムとブラウザが最新の状態であることを確認することが、パスキーの利便性を最大限に引き出す鍵となります。また、シークレットモードではパスキーを作成または使用できない場合がある点も覚えておきましょう。
PC・スマートフォンでの具体的な設定手順
パスキーの設定は非常に直感的です。
- Googleアカウント管理ページにアクセス:ブラウザまたはGoogleアプリから、Googleアカウントの「管理」ページにアクセスし、「セキュリティ」タブへ進みます。または、直接 myaccount.google.com/signinoptions/passkeys にアクセスすることも可能です。
- 「パスキー」を選択:「Googleへのログイン方法」セクションにある「パスキー」の項目をクリック(またはタップ)します。
- パスキーの作成を開始:画面に表示される「パスキーを作成」ボタンを押します。その後、「続行」をタップし、指示に従います。この際、セキュリティのためにGoogleアカウントのパスワード入力による本人確認が求められることがあります。
- デバイス認証の実行:お使いのデバイス(PCまたはスマートフォン)の画面に、指紋認証、顔認証、またはPINコードの入力が求められます。指示に従って認証を行います。この認証は、あなたのデバイスが正当なユーザーであることを確認するためのものです。
- 登録完了:認証が成功すると、「パスキーが追加されました」というメッセージが表示され、登録完了です。次回以降、このデバイスからGoogleアカウントにログインする際には、パスワードを入力する代わりに、設定したパスキー(生体認証やPIN)で簡単にログインできるようになります。
複数デバイスでのパスキー利用について:
スマートフォンとPCなど、複数のデバイスでパスキー認証を利用したい場合は、上記の手順を各デバイスから個別に行う必要があります。パスキーはデバイスに紐付いているため、新たな端末を利用する際には、都度その端末でパスキーを登録する必要があります。
しかし、Googleアカウントでログインしているデバイス間では、パスキーが自動的に同期される便利な機能もあります。AndroidデバイスではGoogleパスワードマネージャーに、iOSデバイスではiCloudキーチェーンにパスキーが保存され、同じGoogleアカウントでログインしている他のデバイスと同期されます。これにより、一度設定すれば、複数のデバイスでパスキーを利用できる利便性が提供されます。
パスキーを最大限に活用するための運用ルールと追加セキュリティ対策
パスキーを設定したからといって、それで全てが万全というわけではありません。パスキーのセキュリティ効果を最大化し、既存のデジタル資産を安全に管理するためには、いくつかの運用ルールと追加の対策を講じることが重要です。
1. 「パスキー優先」の自分ルールを設定する
パスキーを設定しても、既存のパスワードが自動的に消滅するわけではありません。多くのウェブサイトやサービスがパスキーに対応するまでには時間がかかり、パスワードとパスキーが共存する「過渡期」が存在します。このため、パスキー以外のログインは使用しないという「自分ルール」を設定し、フィッシング詐欺サイトへのパスワード入力を防ぐことが極めて重要です。
Googleアカウントの設定では、「可能な場合はパスワードをスキップする」という設定をオフにすることで、パスワードを常に先に使用するデフォルト設定に戻すことも可能です。しかし、パスキーのメリットを最大限に活かすには、パスキー優先のログインを強く推奨します。
特にセキュリティを強化したいユーザー向けには、Googleの「高度な保護機能」プログラムがあります。このプログラムに登録すると、より安全にログインするためパスキーまたはセキュリティキーでのログインが必須となり、サードパーティ製アプリによるデータアクセス制限や不審なダウンロードチェック強化も行われます。パスキーは技術的に強固ですが、ユーザー自身が「パスキー以外のログインはしない」という意識的なルールを持つことが、セキュリティの穴を埋める上で不可欠です。
2. ブラウザに保存されたGoogleアカウントのパスワードを削除する
インフォスティーラー対策として、Googleアカウントのログイン情報をブラウザから削除することを強く推奨します。これにより、万一マルウェアに感染してもアカウントが守られる可能性が大幅に高まります。
Google Chromeなどのブラウザは、パスワード、住所、お支払い情報を保存し、オンラインフォームに自動入力する便利な機能を提供しています。しかし、インフォスティーラーがブラウザに保存されたパスワードを窃取するという明確な脅威がある以上、この利便性はセキュリティリスクとトレードオフの関係にあります。パスキーへの移行は、パスワードを覚える手間をなくすことで利便性を確保しつつ、セキュリティを向上させる「最適解」を提供します。したがって、パスキー導入後は、ブラウザに保存されたパスワードを削除することで、過去の利便性追求がもたらしたリスクを解消することが推奨されます。
ブラウザに保存されたパスワードは、Chromeの設定(chrome://settings/passwords
)から簡単に管理・削除できます。
3. クレジットカード情報の自動入力をOFFにする
クレジットカード情報も、パスワードと同様にインフォスティーラーの主要な標的です。Google Payに保存されているクレジットカード情報については、削除せず、「保存したお支払い方法を使ってお支払いフォームに自動入力します」のチェックを外すことでセキュリティを向上できます。
Chromeでは、お支払い方法の保存と自動入力をオフにすることができます。Google Payに保存されたお支払い情報は、payments.google.com
から編集または削除が可能です。また、Chromeでお支払い方法の保存と入力の確認メッセージを表示しないように設定することも可能です。
特に、セキュリティコードの自動入力が不安な場合は、Chromeの設定で「セキュリティコードの保存」をオフにすることができます。これにより、保存されているすべてのカードのセキュリティコードがGoogleアカウントとお使いのデバイスから削除され、新しいセキュリティコードは保存されなくなります。これは、支払い情報に対する「多層的な保護」の考え方であり、最も機密性の高い情報を保護するために複数の設定を組み合わせる重要性を示しています。
よくある疑問と注意点
パスキーの導入にあたって、ユーザーが抱きやすい疑問や、注意すべき点をまとめました。
パスキーを設定してもパスワードは残る?
はい、パスキーを設定しても、既存のパスワードや2段階認証が自動的に削除されることはありません。必要に応じて併用可能です。デフォルトではパスキー優先のログイン方法に切り替わりますが、パスワードを常に先に使用したい場合はGoogleアカウント設定で変更できます。パスキーへの移行は一朝一夕には完了せず、パスワードとパスキーが共存する「過渡期」が存在することを理解し、適切な管理を続けることが重要です。
デバイス紛失時の対処法
パスキーはデバイスに紐付いているため、端末の紛失や故障は懸念事項となり得ます。万一の事態に備え、Googleアカウントの復旧手段(バックアップコードや他の認証方法)も準備しておくと安心です。例えば、バックアップ用の電話番号やメールアドレスを最新の状態に保つ、信頼できる家族や友人を復旧オプションに追加する、あるいはハードウェアセキュリティキーを代替認証方法として設定するといった「復旧計画」を事前に立てておくことが極めて重要です。
複数デバイスでのパスキー利用
Googleアカウントでログインしている複数のデバイスでパスキーを利用できます。iOSとmacOSの間ではiCloudキーチェーンを通じて、AndroidとWindowsの間ではGoogleアカウントを通じてパスキーが同期されます。ただし、異なるエコシステム間(例:iPhoneとWindows PC)では、各デバイスで個別にパスキーを設定する必要がある場合もあります。パスキーはFIDOアライアンスが推進する標準技術であり、GoogleだけでなくAppleやMicrosoftも採用しているため、将来的にはよりシームレスな体験が期待されます。
職場や学校のGoogleアカウントでの注意点
学校または職場を通じて取得したGoogle Workspaceアカウントの場合、管理者の設定によってパスキーの使用が制限されている場合があります。パスキーだけではログインできない場合や、2段階認証の2つ目の要素としてのみ使用できる場合があります。個人アカウントとはセキュリティポリシーが異なる可能性があるため、組織のIT部門の指示に従うようにしてください。
まとめ パスキーで、もっと安心・快適なデジタルライフへ
Googleが20億人のユーザーにパスキーへの移行を警告している背景には、パスワードの限界と、インフォスティーラーのような高度なサイバー脅威の深刻化があります。パスキーは、公開鍵暗号技術と生体認証を組み合わせることで、フィッシング詐欺やマルウェアによる情報窃取からユーザーを強力に保護し、同時にパスワードを覚える手間をなくすという、セキュリティと利便性の両面で大きなメリットを提供します。生体情報がデバイスにのみ保存され、Googleと共有されないというプライバシー保護の設計も、ユーザーの信頼を構築する上で重要な要素です。
パスキーの導入は、単なる認証方法の変更にとどまらず、オンラインセキュリティにおける「パラダイムシフト」を象徴しています。これまでのセキュリティ対策が「ユーザーの努力」に大きく依存していたのに対し、パスキーは「技術の力」でその負担を軽減し、より堅牢な保護を提供するものです。この変化は、ユーザーがセキュリティを「面倒なもの」ではなく「当たり前で快適なもの」として捉えるようになる可能性を秘めています。
パスキーは、デジタル社会における信頼性と安全性を高めるための重要な進化であり、その採用は個人の利益だけでなく、インターネット全体のセキュリティ向上に貢献します。あなたのGoogleアカウントの「セキュリティ」設定から、ぜひパスキーの導入を検討してください。パスキーは、あなたのオンライン生活を劇的に安全で快適なものに変える、未来の認証システムとなるでしょう。