株価が上がるほど将来の期待リターンはやせやすい。一方で、いまの債券は出発利回りが高い。バンガードは2025年6月末のデータに基づくモデルで、長期のリスク調整後リターンを最大化する配分として株式30%・債券70%を提示しました。本記事はこの背景と数字、誤解されやすい点、実際の組み方、税制と通貨設計までを一気通貫でまとめた実務ガイドです。
最終更新日: 2025-08-27
目次
- 本記事の結論と要点
- バンガードの前提と数字
- なぜ今は債券が相対優位なのか
- よくある誤解と正しい読み方
- 反論と別視点も押さえる
- 実務編 債券70%の組み方テンプレ
- 金利シナリオ別のざっくり感度
- 日本居住者の税制と通貨の注意点
- どんな投資家に向くかを判定
- 実行チェックリストとテンプレ
- まとめと次の一歩

1. 本記事の結論と要点
結論
今の出発点では、10年リターン見通しは債券が株式をわずかに上回る想定。株高の現在地を踏まえれば、株30%・債券70%は理にかなった起点になる。ただし万人への一律推奨ではなく、目的や期限、為替・税務で最適解は変わる。
要点
- バンガードの10年見通しは米株3.3~5.3%、米総合債券4.0~5.0%(名目・米ドルベース)
- モデル配分は株式30%・債券70%だが、投資家ごとの事情を考慮しない参考モデル
- 設計で勝つ。低コスト、期限とデュレーションの整合、TIPSの保険、年1回+乖離バンドのリバランス
2. バンガードの前提と数字
- 時変型アセットアロケーション(TVAA)の2025年7月更新は債券70%、株式30%
- 見通しレンジは確率モデルの出力であって保証ではない
- 表示は名目・米ドル。インフレ、税、コスト控除前である点に注意

3. なぜ今は債券が相対優位なのか
- 株式のバリュエーションはシラーCAPEなどで高水準。平均回帰が起きると10年期待は下押しされやすい
- 債券の長期リターンは出発利回りに強く規定される。いまはクーポンが厚く、金利低下なら価格上昇も乗る
- 株式リスクプレミアムが圧縮され、株を多く持つインセンティブが相対的に弱い
用語ミニ解説
- バリュエーション: PERやCAPEなど、割高・割安を測る物差し
- 株式リスクプレミアム: 国債など安全資産に対する株の上乗せ期待リターン
- クーポン: 債券から受け取る利息収入。長期の合計リターンの土台
4. よくある誤解と正しい読み方
誤解1 70/30は万人向けの推奨
正 参考モデルの結果。目的・耐性・税務・通貨事情を上書きして決める
誤解2 タクティカルな短期配分だ
正 10年スパンのリスク調整後リターン最適化が目的。短期売買の指示ではない
誤解3 提示レンジが手取りリターン
正 名目・米ドルの想定。インフレ、税、コストを差し引いた実質が家計の尺度
誤解4 日本居住者にそのまま当てはまる
正 円家計の為替ヘッジやNISAの取り扱いを別途検討する必要がある
5. 反論と別視点も押さえる
- 超長期では株式優位の歴史が長い。30年目線なら株厚めも十分合理的
- 米国偏重を避けた国際分散、バリューや小型などのスタイル分散で株式期待値を底上げする余地
- 債券のリスクもある。タームプレミアム上昇やインフレ再燃、クレジットスプレッド拡大には注意
6. 実務編 債券70%の組み方テンプレ
前提を決める
- 投資通貨と為替ヘッジ: 円家計は外債を原則円ヘッジ。ヘッジコストは金利差で変動
- 投資期限: 期限はポートフォリオの実効デュレーション以上を目安
- 最大ドローダウン許容: 年間で何パーセントまで耐えられるかを先に数字で
- コスト: 同指数・同ヘッジ条件で最安の商品を選ぶ
モデル配分例(株30%・債券70%)
- 株式 30%: 全世界株の低コストインデックス
- 総合債券 35%: 投資適格・中期。ポートフォリオの土台
- 米国国債 15%: 景気悪化時の下支え
- TIPS 10%: 想定外インフレの保険。短中期中心
- 短期債・キャッシュ 7%: 流動性とリバランス弾
- 先進国外債(円ヘッジ) 3%: 通貨分散の低ボラ要素。任意枠
金利見通しに応じた微調整
- 低下寄り: 国債のデュレーションをやや長めに
- 高止まり・再上昇寄り: 短期債やフローティング比率を増やす、TIPSを厚めに
サブ資産のさじ加減
- クレジットはIG中心。HYは控えめ
- 出発利回りを重視。利回りが高いほど長期の合計リターンが安定しやすい

7. 金利シナリオ別のざっくり感度
前提
- 債券スリーブの実効デュレーション 5.5年
- スタート利回り 4.5%
- 合計リターンは 価格変動 + クーポン の近似
1年想定
- 金利低下 1.0%: 債券価格約+5.5%+クーポン4.5%で債券合計約+10%
- 金利横ばい: 債券はクーポン中心で約+4.5%
- 金利上昇 1.0%: 債券価格約−5.5%+クーポン4.5%で債券合計約−1%
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ポイント
- 高い出発利回りがクッションになり、悪い年の後はクーポンで回復しやすい
- 株式の反応は金利の理由次第。景気減速なら株は弱く、インフレ鈍化なら株も債券もプラスになり得る
8. 日本居住者の税制と通貨の注意点
NISAの要点
- 2024年から恒久化、保有期間は無期限
- 年間投資枠はつみたて120万円、成長240万円、生涯非課税枠は1,800万円
- つみたて枠は適格商品のみ。毎月分配型などは対象外
海外源泉税の落とし穴
- NISAでは国内課税が非課税のため、外国税額控除が使えない
- 外国籍ETFなどの配当・分配は現地で源泉され、日本側で取り戻せない場合がある
為替ヘッジの考え方
- ヘッジコストは概ね短期金利差で決まる
- 円家計は原則円ヘッジの外債が基礎配分に向く
- ヘッジ方針と頻度はファクトシートで要確認
9. どんな投資家に向くかを判定
クイック自己診断
はいなら1点、いいえは0点。合計が高いほど30/70適性が高い。
- 10年以内に大きな支出がある
- 年間マイナス10%以内に抑えたい
- 値動きに精神的な負担を感じやすい
- 利息収入を重視したい
- 資産の増減で一喜一憂しがち
- 毎年3〜4%の取り崩しがある
- 株の割高感が気になる
- 低コストのインデックスで十分だ
- 為替や個別銘柄の固有リスクを減らしたい
- ルール通りにリバランスできる
判定目安
- 7〜10点: 30/70または20/80が有力候補
- 4〜6点: 50/50〜30/70で調整
- 0〜3点: 60/40や株厚めも検討

10. 実行チェックリストとテンプレ
設計
- 目的と期日を明文化
- 年間の最大下落許容を数値化
- 生活通貨と為替ヘッジ方針を決定
- 費用上限を設定
ベンチマーク
- 銘柄名ではなく指数名で定義する
- 株式は全世界株、債券は総合債券と国債、TIPS、短期債で土台を作る
発注と維持
- 初期構築は比率指定と時間分散で
- 年1回の定期リバランスと目標比率からの乖離バンドを設定
- 分配・配当は再投資し、売却せずに比率調整を優先
テンプレート(コピペ用)
運用方針書ミニ
目的:
期日: 年 月(残 年)
取り崩し: 年 パーセント
最大下落許容: 年 マイナス パーセント
生活通貨: (外債は ヘッジ)
目標配分: 株 パーセント/債 パーセント(TIPS パーセント、短期 パーセント)
ベンチマーク:
リバランス: 年1回+乖離バンド プラスマイナス5ポイント
禁止事項: 毎月分配、高コスト、過度なハイイールド ほか

11. まとめと次の一歩
- 10年物差しでは債券がわずかに優位という前提。株高の現在地を考えると債券厚めは合理的
- ただし最終答案はあなたの期限と許容下落、通貨と税務で決まる
- 次の一歩は運用方針書ミニの記入、指数でのベンチマーク定義、リバランス規律のカレンダー登録
注意事項
本記事は一般的な情報提供です。個別の投資助言や税務アドバイスではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。必要に応じて専門家へご相談ください。