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AIが暮らしや仕事に入る前に知っておきたい、利用者中心のデジタルサービス

利用者中心のデジタルサービスを表すアイキャッチ画像 生活・暮らし
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AI、オンライン申請、スマートフォンアプリ、キャッシュレス決済、クラウドサービスなど、暮らしや仕事の中にはデジタルサービスが急速に増えています。便利になる一方で、「操作が難しい」「どこを押せばよいか分からない」「AIの回答をどこまで信用してよいか分からない」と感じる場面もあります。

ここで大切なのは、デジタル化そのものを目的にしないことです。新しい技術を使うことより、「利用する人が目的を達成できるか」「迷わず安全に使えるか」「困ったときに助けを得られるか」の方が重要です。

デジタル庁はサービスデザインの考え方として、「誰一人取り残されない」デジタル社会を目指し、多様な利用者のニーズを踏まえた利用者中心(人間中心)の行政サービス設計を進めています。2026年6月にはユーザビリティガイドラインが改訂され、誤操作を起こしにくく、安全で、利用ニーズに合った使いやすい情報システムやUIを提供する考え方が整理されました。

この記事では2026年10月時点の公的情報を確認しながら、AIやデジタルサービスを使う側と提供する側の両方から、「利用者中心」とは何か、どこを確認すれば安心して使えるのかを分かりやすく整理します。

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利用者中心のデジタルサービスとは何か

利用者中心とは、「画面がきれい」「機能が多い」という意味ではありません。利用する人の目的、状況、知識、身体的な条件、使用する端末、通信環境などを考え、必要なことを無理なく達成できるようにサービスを設計する考え方です。

たとえば、行政手続きをオンライン化しても、説明が難しく、入力項目が多く、エラーの理由が分からなければ利用者の負担は減りません。スマートフォンアプリを作っても、小さな文字しか表示できず、音声読み上げに対応していなければ利用しにくい人がいます。

デジタル庁のサービスデザイン方針では、デジタル機器に慣れていない人だけでなく、直接そのサービスを利用しない人も含め、さまざまな利用者を想定する必要があるとされています。

つまり、「できる人に合わせる」のではなく、「異なる状況の人が目的を達成できるか」を考えることが利用者中心の出発点です。

AIを入れれば利用者中心になるわけではない

最近では、問い合わせ対応、文章作成、検索、審査補助、商品提案など、さまざまな場面でAIが使われています。しかし、AIを導入しただけでサービスが使いやすくなるわけではありません。

利用者が求めているのは、AIそのものではなく、「疑問を解決したい」「申請を終えたい」「必要な情報を見つけたい」「仕事を早く終えたい」といった目的の達成です。

AIチャットを設置しても、回答が間違っている、同じ質問を繰り返す、問い合わせ先が分からない、最終的に人へ相談できない、といった状態では不満が増えてしまいます。

デジタル庁は2026年6月、政府における生成AIの調達・利活用ガイドラインを第2.0版へ改訂しました。生成AIの活用を進める一方で、ガバナンスやリスク管理を同時に行う考え方が示されています。経済産業省の「AI事業者ガイドライン 第1.2版」でも、人間中心、安全性、プライバシー、セキュリティ、透明性などが重視されています。

サービスを利用する側としても、「AIだから便利」ではなく、「AIが間違えたときにどうなるか」「重要な判断を人が確認しているか」を見ることが大切です。

使いやすいサービスか確認する7つのポイント

1.目的までの道筋が分かりやすいか

サービスを開いたときに、自分が次に何をすればよいか分かることが重要です。

「申請する」「予約する」「変更する」「問い合わせる」など、利用者が行いたいことが見つけやすく、途中で迷いにくい設計になっているか確認します。

専門用語が多い場合は、補足説明や具体例があると理解しやすくなります。エラーが起きたときも、「入力に誤りがあります」だけではなく、どこを直せばよいか示される方が親切です。

2.スマートフォンでも無理なく使えるか

現在はスマートフォンだけで手続きをする人も少なくありません。パソコン前提の小さな画面や複雑な入力フォームでは、途中であきらめる原因になります。

文字が読める大きさか、ボタン同士が近すぎないか、画面を何度も左右に動かさなくてよいか、入力内容が消えないかなど、実際の利用場面を考える必要があります。

3.高齢者や障害のある人も利用できるか

ウェブアクセシビリティは、特別な機能ではありません。多くの人が情報へアクセスするための基本的な品質です。

デジタル庁は、ウェブアクセシビリティの方針でJIS X 8341-3:2016やWCAG 2.2を活用し、障害のある人や高齢者を含むすべての人が情報やサービスを利用できることを重視しています。

画像に代替テキストがある、キーボードでも操作できる、文字と背景のコントラストが十分、動画に字幕がある、といった対応は、多くの利用者にとって使いやすさにつながります。

4.どの情報を集めるのか分かるか

デジタルサービスでは、氏名、住所、メールアドレス、位置情報、購入履歴など、さまざまな情報を扱います。

必要以上の個人情報を求めていないか、何のために使うのか、第三者へ提供するのか、保存期間や削除方法が説明されているかを確認します。

AI機能がある場合は、入力した内容がどのように扱われるのかも重要です。仕事で利用する場合、顧客情報、社内資料、未公開情報を安易に入力しないよう、利用規約や社内ルールを確認する必要があります。

5.安全性が考えられているか

便利でも、セキュリティが弱いサービスは安心して使えません。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、個人向けの脅威としてフィッシング、不正ログイン、クレジットカード情報の不正利用、サポート詐欺、不正アプリなどが挙げられています。

利用者側では、多要素認証を利用する、パスワードを使い回さない、メールやSMSから直接ログインせず公式アプリやブックマークを利用する、といった基本対策が有効です。

サービス提供側も、利用者が安全な行動を取りやすい設計にする必要があります。たとえば、不審なログインを通知する、重要操作で再確認する、問い合わせ先を明確にするなどです。

6.AIの回答と人の対応を区別できるか

AIが回答しているのか、人が確認した情報なのかが分かりにくいサービスは注意が必要です。

特に医療、福祉、金融、法律、行政手続きなど、誤りの影響が大きい分野では、AIの回答だけで最終判断をしないことが重要です。公式情報や専門窓口を確認し、必要な場合は人へ相談できる仕組みが必要です。

AIが利用されている場合でも、「AIでは対応できないときにどうするか」が用意されているサービスの方が安心して使えます。

7.利用者の声をもとに改善されているか

一度公開したサービスが、そのままで良いとは限りません。OSやブラウザ、端末、利用者の行動、制度などは変化します。

デジタル庁は2026年、政府情報システムについて利用者満足度を継続的に評価し、統一的な指標とフィードバックを使って改善する仕組みを進めています。

「問い合わせが多い場所」「途中離脱が多い画面」「誤入力が多い項目」を確認し、改善を繰り返すことが利用者中心のサービスにつながります。

提供する側が最初に考えるべきこと

デジタルサービスを作る側は、最初に「どの技術を使うか」ではなく「誰の、どの課題を解決するか」を決める必要があります。

たとえば、「AIチャットを導入したい」から始めるのではなく、「問い合わせの待ち時間が長い」「営業時間外に基本的な質問へ答えられない」といった課題から考えます。そのうえで、FAQ改善で十分なのか、検索機能が必要なのか、AIチャットが有効なのかを選びます。

課題と手段を逆にしないことが重要です。

デジタル化で「人の窓口」を消さない方がよい場合もある

効率化を進めると、紙や電話、対面窓口をすべて廃止したくなることがあります。しかし、利用者の状況によってはデジタル以外の方法が必要です。

本人確認が難しい、障害があって操作できない、スマートフォンを持っていない、通信環境が不安定、緊急性が高いといったケースがあります。

利用者中心で考えるなら、デジタルを基本にしつつ、必要な人が代替手段や支援へ移れる設計が望まれます。「オンラインでできること」と「人に相談できること」を対立させる必要はありません。

暮らしの中でサービスを選ぶときの確認例

新しいアプリを入れるときは、公式の提供元か、更新が続いているか、必要以上の権限を求めていないかを確認します。

オンライン手続きでは、公式サイトからアクセスし、SMSやメールのリンクだけを信用しないようにします。支払いが発生する場合は、金額、解約方法、更新条件を確認します。

AIサービスを使うときは、個人情報や機密情報を入れる前に利用規約とプライバシーポリシーを確認し、重要な回答は一次情報で再確認します。

仕事で新しいクラウドサービスを使うときは、個人の判断だけで導入せず、組織の情報管理ルール、保存場所、アクセス権限、退職・異動時のアカウント管理まで考える必要があります。

利用者中心にするためのシンプルなチェックリスト

サービスを利用するとき、または職場で導入を検討するときは、次の項目を確認すると判断しやすくなります。

目的がはっきりしているか。利用者が迷わず目的を達成できるか。スマートフォンでも使えるか。高齢者や障害のある人への配慮があるか。集める個人情報は必要最小限か。AIが使われている場所と役割が分かるか。重要な判断を人が確認できるか。問い合わせ先や代替手段があるか。セキュリティ対策があるか。利用者の意見を受けて改善する仕組みがあるか。

すべてが完璧なサービスはありません。しかし、この視点を持つだけでも「新しいから使う」ではなく、「自分の目的に合っているか」で選びやすくなります。

よくある質問

Q.利用者中心とユーザビリティは同じですか?

近い考え方ですが、利用者中心は画面の使いやすさだけでなく、サービス全体で利用者の目的を達成できるかまで考えます。申請前の情報収集、本人確認、問い合わせ、完了後の確認なども含めて設計する考え方です。

Q.AIサービスは危険なので使わない方がよいですか?

一律に避ける必要はありません。便利な用途も多くあります。ただし、入力する情報、回答の正確性、利用規約、最終判断を人が行う場所を確認して使うことが重要です。

Q.デジタルが苦手な人はどうすればよいですか?

一人で無理に操作する必要はありません。公式の相談窓口、家族や支援者、自治体の支援などを利用し、重要な手続きでは内容を確認しながら進める方が安全です。サービス提供側にも、支援が必要な人を前提に設計する姿勢が求められます。

Q.サービス提供側は何から改善すればよいですか?

問い合わせ内容、途中離脱、入力ミス、操作に時間がかかる箇所など、実際の利用者が困っている場所を確認するところから始めます。新機能追加より、既存の分かりにくさを直す方が効果的な場合もあります。

まとめ

AIやデジタル技術は、暮らしや仕事を便利にする大きな可能性を持っています。一方で、技術を入れること自体が目的になると、使う人が置き去りになることがあります。

2026年のデジタル庁のサービスデザインやユーザビリティに関する考え方でも、利用者中心、安全性、アクセシビリティ、継続的な改善が重視されています。

利用する側は、「便利そうだから」だけで選ばず、目的を達成できるか、安全に使えるか、困ったときに相談できるかを確認する。提供する側は、技術からではなく利用者の課題から考える。この二つがそろって、初めてデジタル化の恩恵が広がります。

AIが身近になる今だからこそ、「何ができるか」だけでなく「誰のために、どう使うか」を考えることが大切です。

参考にした公的情報

※制度・ガイドライン・サービス仕様は更新される場合があります。実際に利用するときは各公式サイトの最新版を確認してください。

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